やんちゃなハニー
 
 
 
「まさと、最近変なの・・・」
 
「うん??いったい何が変なんです??」
 
「それがね、2日で2キロも太っちゃって・・・」
 
「ははは。甘いものでも食べすぎたんじゃないんですか??」
 
「ううん、そんなに食べてない・・・ホントよ。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                                            やんちゃなハニー
 
 
 
 
 
 
 
大体、体重なんてものは、何かしてもしなくても1キロや2キロは普通に増減する。
仮に、少しくらい増えたとしても、見た目は早々変わるものじゃない。
 
 
そんなことで、一喜一憂してるとは、ウチの若奥様もまだまだ子供ですね・・・
 
 
あの時はそう思い、笑って済ませてしまったが、
それから数日した土曜の朝、
 
 
 
「やっぱり・・・変なの・・・」
 
「なんです、まだ体重を気にしてたんですか??」
 
「ううん、違うの・・・見て。」
 
 
いつもと違う様子に、新聞を読むのをやめ、彼女を見ると、
 
お姫様カットが似合う顔は、目蓋の辺りが腫れていて顔全体が浮腫んでる。
 
 
「いったいどうしたんです、その顔??」
 
「ねっ、変でしょう??顔だけじゃないの・・・ほら・・・」
 
 
そう言って、ネグリジェの裾を捲くると、足の指もパンパンに浮腫んで、
足が一回り大きくなったような状態。
 
 
「どうしよう・・・」
 
 
不安げな表情をしている春希の頭をポンポンと撫で、
 
 
「とにかく、病院へ行きましょう。今なら外来受け付けてますから。」
 
「・・・病院??イヤ・・・行きたくない・・・」
 
「イヤじゃないでしょう??浮腫みが出るってことは腎臓が悪い可能性だってあるんですから、
 早く先生に診てもらわないと。悪い病気だったらいやでしょう??」
 
「・・・」
 
 
黙ったままぼーっとして、どうも様子がおかしい。
もしかして、熱でもあるんでしょうか??
 
額に手を当ててみたが熱はない。
 
 
 
「どうしても、病院行かないといけない??」
 
「当たり前です。大変なことになってるんですから。」
 
「だって・・・だってね・・・注射するかもしれないもん・・・」
 
「注射??」
 
 
 
そうだ、このおひいさま、子供の頃から注射が嫌いで、
病院から逃げ出したこともあるって、以前、本人から聞いたことがありましたっけ。
 
注射するくらいなら、熱で苦しむほうがいいと・・・
 
 
「注射なんかしませんよ。」
 
「ウソ!!気休めなんて、聞きたくない。」
 
 
そう言って、しゃがみ込んでしまった。
 
普段なら、思いっきりお尻を引っぱたいてやりたいところだが、
そうもいかず、駄々こねてるのを何とか説得して車を飛ばす。
 
 
 
 
病院は土曜で午前中だけの診察とあって、さずがに混んでいた。
まして、予約がないため、診察まで1時間以上待たされたが、なんとか診てもらえた。
 
やはり腎臓の病気が疑われるとのことで、エコーやレントゲン、血液検査をして、
待たされること更に1時間。
 
 
結果は、腎臓の病気ではなく、極度の貧血だった。
 
 
悪い病気でなくて安心したが、貧血では、確か薬を飲んでいるはず・・・だった。
薬のサボりについては、過去数回叱った記憶が・・・
 
 
 
薬局で薬を処方してもらってる間、
 
 
「貧血の薬、ちゃんと飲むって僕と約束ませんでしたっけ。」
 
「・・・」
 
 
黙ってるってことは、無言のイエスってことですね。
尤も、きちんと飲んでいれば、こんなことにはならなかったワケですから。
 
 
「いま・・・そのお話したくない・・・」
 
「そうですか、わかりました。」
 
 
その場で、それ以上詰めることはしなかったが、あとで、しっかりお説教ですね。
 
 
薬をもらって、帰る車の中でも身体がだるいのか、春希はあまりしゃべらなかった。
家について、車を降りると、ドアのところで立ったまま動こうとしない。
 
 
「どうしました??」
 
「注射、大っ嫌いなのに、採血頑張ったもん。」
 
「そうですね、駄々こねないでよく頑張りましたね。」
 
「うん・・・まだね、浮腫んでるしだるいの・・・お部屋まで抱いてって♪」
 
「やれやれ、とんだ甘ったれですね。」
 
 
僕の腕の中で、春希は子猫のように丸まっていた。
 
 
 
 
 
それから数日して、元気になった彼女に、薬の話をしようとするが、
叱られるのを察してか、僕と向き合って話をしたがらない。
 
 
「もう、体調はすっかりいいんですか??」
 
「うん、もう、すっかり元気よ。」
 
「それはよかった。ところで・・・」
 
 
今日も、薬の話を切り出そうとすると、急にソワソワし出して、
 
 
「あっ、アイロン掛けなくちゃ。」
 
 
取って付けたような理由で、その場から逃げ出そうとする。
可哀想ですが、今日はその手には乗りませんよ。
 
 
「アイロンはあとで構いませんから、ここへ来て座りなさい。」
 
「でも・・・」
 
「明日来て行くワイシャツがないわけじゃないでしょう??」
 
「そうだけど・・・雅人・・・怒るもん・・・」
 
「う〜ん、怒られるようなことをした自覚があるんですね。」
 
「・・・」
 
「だったら、話は早い。ここへ来てお尻だしなさい。」
 
 
そう言うと、拗ねたような瞳でこちらを見て、
 
 
「イヤ・・・」
 
「うん??何か言いましたか??」
 
「お尻ぶつもん・・・イヤぁ〜!!」
 
 
大きな声で言ったかと思うと、ソファに置いてあったクッションを
立て続けに2つ思いっきり投げつけて、それが、見事、僕の顔に命中。
 
 
「つぅ・・」
 
 
その隙にその場を逃走。
 
 
「こらっ、待ちなさい!!」
 
 
ドタバタ階段を上がる音がして、あとを追いかけたが寸でのところで、
 
バタンっ!!
 
寝室のドアを閉められ鍵を掛けられた。
 
 
「開けなさい。」
 
 
ドアノブを回してみたが、完全に鍵が掛っていてどうすることもできない。
溜め息を吐いていると、ドアの向こうで何か言ってる。
 
 
「お尻ぶたないって約束してくれる??してくれたら・・・開ける・・・」
 
「そんな約束はできません。こんなことして、あとでどうなるかわかっていますか??
 わかっててしてるなら、何も言うことはありません。勝手にしなさい。」
 
 
さっき、クッションをぶつけられたこともあり、
僕としたことが、少しばかり感情的になっていたのかもしれない。
突き放すようにそう言って、階下に下りた。
 
まったく、手を焼かせて・・・
降りてきたら、イヤというほどお仕置きですね。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
 
 
 
 
 
それから、深呼吸して気持ちを落ち着かせ、何事もなかったようにリビングで雑誌を読むこと1時間。
時計は夜9時を少し回ったところ。
 
キィッとドアを開ける音がかすかにしたかと思うと、
少しして、申し訳なさそうに春希が入ってきた。
 
僕を恐れているのか、2メートル以上は近づこうとしない。
 
 
「派手にやってくれましたが、、意外と短い篭城でしたね。」
 
「怒ってる??」
 
「さあ、どうでしょう。」
 
「ごめんなさい・・・」
 
 
ごめんなさい??
こんなことをしておいて、今更、それで済ますつもりですか??
 
 
「薬は飲まない、物は投げつける、逃げる・・・それを、たった一言でノーサイドに
 するつもりなら、あまりにも虫が良すぎやしませんか??」
 
「・・・」
 
「黙ってたらわからないでしょう??悪い子はどうされるんです??」
 
「・・・」
 
「言えないなら、言えるようにしてやらないと。」
 
 
スッと立ち上がった瞬間、
 
 
「いやぁ〜、来ちゃダメ!!」
 
 
後退りしている。
 
少しずつ距離を縮めて手首を掴むと、踵に力を入れて抵抗しはじめた。
僕の手を振り解こうと暴れるが、それをなんて言うか知っていますか??
 
無駄な抵抗・・・って言うんです。
 
 
そのまま、力ずくで引き摺りソファまで連れてくると、そのままソファに左足を掛け、
その上に春希を乗せ、スカートを捲くり下着を下げる。
 
 
「イヤぁ〜〜〜!!ヤダヤダタぁ〜!!お尻いやぁぁぁーーん!!」
 
 
騒いで暴れるのを無視し、そのまま思いっきり振り上げた手を下ろす。
 
 
パッシィィィィィーーン!!
パッシィィィィィーーン!!
パッシィィィィィーーン!!
 
 
「あーーん!!いったぁぁぁぁーーい!!下ろして!!下ろして!!」
 
 
あんまり暴れるので、太腿を思いっきり叩くと、少し大人しくなった。
それからキツクお仕置きして、一旦膝から下ろし正座される。
 
 
「何で叱られてるか、言ってみなさい。」
 
「知らない・・・」
 
「ふ〜ん、もっと痛くされないとわかならいんですね。よ〜くわかりました。」
 
 
手首を引っ張り膝に乗せようとすると、
 
 
「いやぁ〜〜〜!!、雅人なんか大っ嫌い!!」
 
「まったく、悪態ついて。」
 
 
そのまま、膝に引き摺り上げ、真っ赤に腫れて熱を持ったお尻に再び右手を下ろす。
 
 
パッシィィィィィーーン!!
パッシィィィィィーーン!!
パッシィィィィィーーン!!
 
 
パッシィィィィィーーン!!
パッシィィィィィーーン!!
パッシィィィィィーーン!!
 
 
「いったぁぁぁぁーーい!!、もういやぁ〜〜〜!!」
 
「他に言うことがあるでしょう??」
 
「うわ〜ん、雅人、ごめんなさぁぁぁぁい!!もう、しないから・・・」
 
「何をもうしないんです?」
 
「薬、ちゃんと飲むし、物投げたりしない・・・」
 
「やっと、言えましたね。」
 
 
素直にすれば、こんなに叱られなくてすむのに。
 
膝から下ろし、もう一度正座させる。
バツが悪いのか、春希は下を向いたまま顔を上げようとしない。
 
 
「下を向いてないで、僕の顔を見なさい。」
 
 
ゆっくり上げた顔の涙を拭ってやり、僕は優しく微笑みかけた。
 
 
「この間、浮腫んだ顔をみたとき、本当に心配しました。もしも悪い病気だったらって
 思ったら、生きた心地がしませんでしたよ。」
 
「うん・・・」
 
「出来ることなら、変わってやりたいって思いました。ホントに・・・」
 
「うん・・・心配かけてごめんなさい・・・」
 
 
春希はまた、グズグズと泣き出した。
艶やかなサラ髪を撫で、小さい子に言い聞かせるように、お説教を続ける。
 
 
「先生も言ってましたね。薬は人によっては気持ち悪くなり吐き気がするって。
 ツライのはわかります。でも、ちゃんと我慢して飲まないと、いつになっても良くならないし、
 また、今度みたいになり兼ねません。僕のためだと思ってちゃんと飲んでください。」
 
「はじめはちゃんと飲んでたけど、ムカムカ気持ち悪くて吐き気がして、途中でやめちゃったの・・・」
 
「今度こそ、ちゃんと治しましょう。僕も協力しますから。」
 
「うん・・・でも、どうやって協力してくれるの??」
 
「そうですね・・・薬サボったら毎回お尻ペンですね。」
 
「イヤ・・・そんなの・・・」
 
「ははは。それとも、そんなに薬がツライなら、注射にしますか??」
 
 
冗談のつもりでそう言ったら、急に青褪めた表情をして、
 
 
「注射??いや〜ん!!そんなこと言う雅人嫌い!!」
 
 
そっぽを向いてしまった。
 
その横顔が可愛くて、もっともっと構いたくなる。
膨らませたほっぺを突いてみたくなる。
 
 
「ははは。冗談ですよ。そんなに注射がイヤならちゃんと薬飲みましょうね。」
 
「うん・・・」
 
「返事は“うん”じゃなくて、“はい”でしょう。」
 
「はい。ねえ・・・もうお仕置きはおしまい??」
 
「悪い子だったからまだダメだです。」
 
 
それから、膝に乗せて仕上げのお仕置きをした。
多少暴れはしたものの、それでも、彼女にしてみれば、必死に我慢していたのだろう。
 
毎回、これくらい素直で大人しくしてくれると助かるんですが・・・
 
 
「さっきは、大っ嫌いだなんて言って、ごめんなさい・・・」
 
「ははは。気にしていませんよ。それとも、本当に嫌いになっちゃいましたか??」
 
「ううん、大好き♪」
 
 
まったく・・・さっきまで愚図言って駄々こねて悪態ついてたくせに、
もう、この笑顔。
 
 
「雅人が、私の変わりに薬飲んでくれたらいいのに・・・」
 
「こらっ、変わりに飲んで貴女が良くなるなら、いくらでも飲みますけど、
 そういうわけにはいかないでしょう??」
 
「うそよ。ちょっと、言ってみただけ☆」
 
 
そう言って、いたずらな瞳で僕を見る。
 
そう・・・その目が魅力的なんです。
何か企むたびにキラキラして、セクシーで・・・
 
 
「とにかく、薬をちゃんと飲んで治しましょう。それと、物は絶対投げたりしないこと。
 お仕置きは素直に受けること。いいですね。」
 
「はい。」
 
「今度やったら、鞭でもっと腫れあがるくらいお仕置きしますから。」
 
「脅かすなんて、イジワル。」
 
「脅かしじゃありませんよ。よーく覚えておくように。」
 
 
しっかり釘を刺しておかないと、このおひいさま、また、何を仕出かすか・・・
頼むから、いい子にしててくださいよ。
 
 
「まさと・・・」
 
「はい??」
 
「お尻痛い・・・」
 
「悪い子でしたからね。」
 
「痛くて痛くて、今夜は眠れそうにない・・・」
 
「やんちゃが過ぎるからでしょう??」
 
「まさと・・・抱っこ♪」
 
 
そう言って、思いっきり抱きついてくる。
まるで、無邪気な少女のように、ほほをすり寄せてくる。
 
どうやら僕は、やんちゃでイタズラな春希にメロメロらしい。
このままだと、すっかり骨抜きにされてしまいそうですね。
 
ただし、やんちゃが過ぎたら、膝の上だってこと、忘れないでくださいよ。
 
誰よりも手が掛かる、僕のハニー。
 
 
 
 
次の朝、
 
 
「春希ぃ、ワイシャツが一枚も見当たらないんですが・・・」
 
「さあ、知〜らない♪」
 
「いったいどこへ隠したんです??遅れるでしょう??」
 
「だって、アイロンはあとでいいって、言ったもん。」
 
「・・・」
 
 
やれやれ・・・僕は一生、貴女にに振り回されそうですね。笑
 
 
 
 
END
 
Nina拝
 
 
 
  

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